近大クエ

近大クエ

※近大クエは近畿大学の登録商標です。

私たちがクエの卵を採る親魚は、海上の生簀で何年も飼育しています。5年間養成している親魚もあれば10年以上経つ親魚もあります。現在はまだ自然な産卵で受精卵を得ているのではなく、5月~6月に人工授精を行っています。成熟した卵を持った親魚から腹部を圧迫して卵を絞り出し、雄の親魚から得た精子を人工的に受精させる方法です。

このようにして得た卵を飼育するのですが、小さい時期の飼育においては数ある魚種の中でクエは難しい方に入ります。孵化して5週間位までのクエは成魚の姿とは全く違ったユニークな体形をしていて、口が小さく、長いアンテナのような棘(きょく)が背中から1本、お腹から2本伸びています。この期間のクエは非常にデリケートで、ちょっとした飼育環境の変化で大きなダメージを受ける場合があります。

餌は他の魚の場合と基本的には同じですが、孵化して3日後に餌を食べるようになっても口が小さいので小型のシオミズツボワムシ(プランクトン)から給餌し始めます。その後は他の魚と同じように、アルテミア(プランクトン)から人工配合飼料へと切り替えて行きますが、配合飼料を与え始めるのは他の魚より10日ほど遅く、孵化して6週目から与えています。

配合飼料だけでの飼育は8週目頃からになります。この時の大きさは2.5cm位で、10cmほどになるまでは陸上の水槽で飼育しています。水温が高いと成長はよいのですが、冬の水温が下がる期間はあまり大きくなりません。特に小さい時期はその傾向が顕著に現れます。したがって、私たちはクエを鹿児島県の奄美大島へ2日がかりで船で輸送して育てています。和歌山県の白浜は冬の水温が14℃にまで下がるのですが、奄美大島なら冬でも20℃近くありますので随分違います。

奄美大島では一辺が6mの四角形の網生簀で養成しています。与える餌はすべて配合飼料で、最初の1年で500g、2年で1kg位に成長し、以降は1年で1kgずつ大きくなります。温暖な奄美大島の生簀で4~5年かけてすくすく育ったクエは、秋に3kg位になって再び船で白浜へ戻り出荷を待ちます。

卵のときから最終の出荷に至るまで、すべての期間の飼育情報を記録・保管して、消費者の方々からのお問い合わせにもすぐに対応できるよう努めています。