ヒラメ

ヒラメ

近畿大学では1965年に世界で初めてヒラメの人工孵化に成功しました。あの平らな形をしたヒラメも、親魚から産まれた卵が育つ過程はマダイなどと殆ど同じです。飼育する水温が18℃程度とちょっと低めですが、初期の頃は同じ飼育方法です。

ヒラメの特徴は両眼が体の片側にあることですが、産まれてしばらくは他の魚と同様に体の両側にあります。この変化は孵化してから3~4週目の間に起こります。この時期にヒラメの右眼は徐々に左眼のある側へ移って行き、両方の眼が体の左側に並びます(一般的にはカレイは右側に両眼があります)。その後しばらくすると水槽の底や横の壁にペタッとひっつくようになります。この時の大きさは1.5cm位です。また、それまで体は透明でしたが、この頃から茶色くなって、見た目では一人前のヒラメになります。ここまで4~5週間かかります。

ヒラメは卵から孵化してから途中劇的な体形の変化(変態)を経て稚魚に育ちますが、この間の餌はマダイや他の魚と同じで、初期はシオミズツボワムシ、次いでアルテミア、さらには人工配合飼料というメニューで飼育します。ヒラメも他の魚と同様に人工配合飼料を食べだすとぐんぐん大きくなります。3カ月もすると大きいものでは10cm位に成長します。ただ、意外にも小さい時は気性が激しく、大きいヒラメと小さいヒラメが1つの水槽の中で一緒にいると、小さい方はつつかれたり噛まれたりします。したがって、大きいのと小さいのとを別々の水槽で飼育しなければなりません。

この大小を分ける作業は10日に1回位行います。稚魚が8~10cmになると、全国各地の養殖業者さんへ養殖用の種苗として出荷されるようになり、さらに1年近く育てると800g~1kgの成魚になります。ちなみにヒラメはメスの方が大きくなります。養殖する多くの魚は稚魚になれば海上の網の生簀で飼育されますが、ヒラメは成魚で出荷されるまで陸上の水槽で飼育されます。

卵のときから最終の出荷に至るまで、すべての期間の飼育情報を記録・保管して、消費者の方々からのお問い合わせにもすぐに対応できるよう努めています。