近大シマアジ

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近大シマアジ

親魚から産まれた卵(直径1mm程度)は水槽の海水中で漂いながら概ね2~3日ほどかけて孵化します。孵化して直ぐの仔魚(魚の赤ちゃん)は、3mm位の大きさで、目も見えず口も開いていません。この間はお腹に貯えてある親からもらった栄養分で発育します。餌が見えたり、食べたりできるようになるにはさらに2日ほどかかります。

仔魚が餌を食べるようになると、自家培養したシオミズツボワムシという生きたプランクトンを与えます。孵化から3週間もすると魚が大きくなってくるので、次にアルテミア(別名ブラインシュリンプ)という大きめのプランクトンに切り替えていきます。さらに大きくなった稚魚は、次にオキアミやイワシなどを乾燥して細かい粉末にしてビタミンなどを添加した人工配合飼料を食べるようになります。この配合飼料を食べ始めると稚魚はすくすく大きくなります。

このようにして孵化してから6~7週間は、陸上の水槽で育てます。その時の大きさは4cmです。稚魚がこのような大きさになると、陸上の水槽からトラックの水槽へ移され、輸送後に海上の化学繊維でできた生簀網へ沖出しされます。

沖出しされた稚魚には1日に3~5回程、人工配合飼料を給餌し、2ヵ月程生簀で育てます。この期間の飼育のことを中間育成と呼んでいます。体長8~10cmまでに育った稚魚は、全国各地の養殖業者の方々に養殖用の種苗として出荷されるようになります。

近畿大学及び当社産の成魚は、この稚魚を一辺が7mか12mの正四角形、深さが4~5mの生簀網でさらに養成したものです。餌は稚魚のときと同様に人工配合飼料を与えます。

魚を天然の海で生簀を使用して育てていますといろいろな問題が起こります。この2~3年の養成期間には、台風が来たり、夏の高水温であったり、冬の低水温に見舞われたりといろいろな自然現象におびやかされます。このような場面でしばしば魚は病気にかかり易くなります。このようなときでも、できるだけ病気を引き起こさないよう魚のストレスを小さく保つように心掛けています。すなわち、一台の生簀網で飼育する魚の数を少なくして育てているのです。養成の場面では、抗生物質などの医薬品を使用しなくても済むような養殖を心掛けています。ただ、天然の海域で飼育しているため魚に寄生虫が付く場合があり、その時には駆除のために消毒剤を使用しています。しかしこの消毒剤は魚に残留するものではありません。

魚たちが出荷サイズに成長してきたら、最終仕上げとしてもっと美味しくなるように特別メニューの餌を与えて、体調を整えて出荷に備えます。

卵のときから最終の出荷に至るまで、すべての期間の飼育情報を記録・保管して、消費者の方々からのお問い合わせにもすぐに対応できるよう努めています。